伊旺レビュ

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Author:伊旺(いお)
話好きが昂じてこんな多趣味に。
各ジャンルによって★の重さが変わります。

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戯言シリーズ03 クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子

4061822675クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子
西尾 維新 take
講談社 2002-08

by G-Tools

★★★
(学園、拘禁、人類最強、請負人、私立澄百合(すみゆり)学園、《首吊高校(クビツリハイスクール)》、殺戮)


ぼくは誰にも何も施さない。
だから、何も受け取らない。
ありとあらゆるものを拒絶する。それが……このぼくに残された最後の矜恃だったはず。
(p.84下)


◆哀川潤との共同戦線
1巻では終盤に出てきて「この人すごい」という印象をかっさらい、2巻では後ろでなにやら暗躍してたらしいという記憶しかない。
この巻ではいーちゃんとほぼ行動をともにするためか、彼女について詳しくわかる。
なぜ「人類最強」なのかも。
格好いいお姉さんなのだけど、たぶんそんなことをこの哀川潤にいったら「あんがとさん」とかいって軽いハグをしてくれそうな気さくさがいい。
敵はすべからく彼女が身内に甘いと知っているのに、それで陥落できないんだよな。
強いからこそ、自分に甘さを作ることができるというのがすごい。

◆いーちゃんの過去の断片
いーちゃんは何やら過去の断片を思いだし、自分の矜恃も思いだし。
五年前、彼と玖渚友との間に何かあったことは1巻からの予備知識。
好きとか嫌いとか以前に、この二人は、というかいーちゃん側からはなにやら鬱屈とした悩みがあるらしく、それに一応の決着を見せない限り、この彼の話は終わらないのではないかと思おう。
そこらへん、玖渚友は突き抜けちゃってて、すでに結論を出した上で行動してそうなんだけれど。

◆ミステリではない、けれど
今回は密室などの課題が出てくるが、それを中心としてみているのではなく、「救出劇」「真相」を楽しむものだ。
独特な登場人物たちを描いていて、ちょっとしか出ていないのに忘れないキャラもいる。玉藻ちゃんはなぜあんなにも強烈なんだ。
一緒に暮らす兄弟やみいこさんは、これから本編には直接絡んでこないのかな?


戯言シリーズ02 クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識

4061822500クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識
西尾 維新
講談社 2002-05

by G-Tools

★★★☆
(前作から二週間後、京都、級友、連続殺人鬼、人間失格・零崎人識)


◆友情、恋情、殺意
今回は、その狭間で葛藤する人間の心を描いている。
だれのことを言っているかは読了後にわかるだろう。
誰か大切な人がいたとして、その人にも大切な人がいて。
連鎖は、どんどん悪循環を生んでいる。
例のごとくいーちゃんはまったく感知無し。
でも、彼にも友人はいて、好きな人もいる。
そこが零崎人識と違うところだろうか。

◆いーちゃん
とにかく、ケガ多い!
というかほとんど自分でやったのでは。
あと、玖渚友はほとんど出番無し。
いーちゃんの大学生活を垣間見れる。

◆零崎人識
新キャラ。
いーちゃんに似ているのは伏線?
殺しをしないとは本当だろうか。
ヒューストンに言ったのもこれからに関係したりして。
再び出会うときは敵となるかもしれない。
なぜか、占い師の顔が浮かんだ。


戯言シリーズ01 クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い

4061822330クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い
西尾 維新
講談社 2002-02

by G-Tools

★★★☆
(絶海の孤島、財閥令嬢、科学・絵画・料理・占術・工学、天才、孤島×密室×首なし死体、青色サヴァン、戯言遣い、新青春エンタの傑作、第23回メフィスト賞受賞作)


◆天才が集まる島
島の外に出られない財閥令嬢が、天才を島に喚び、そこで数日過ごすという。
なぜ島から出られないのか、それは彼女の過去に起因するものらしい。
とにかくも、語り部である「いーちゃん」自身は喚び出されていないのだが、玖渚友(くなぎさとも)について、この島に来ることになるわけだ。

◆ちょいとミステリ
メフィスト賞らしく、トリックのオンパレードで、
それに注意しながら読むと面白いかもしれない。
ミステリにはつき物の密室も出てくるし、
なぜ「クビキリ」という殺人方法を選ばなければならなかったのかを考えると、
おのずと見えてくるものがある。
個人的には、登場人物たちの内情に注目しつつ読んだ。

◆天才、でも人間
彼らはあくまで人間(作者があとがきで書いたように)。
人間ゆえに殺人を犯し、人間ゆえに殺される。
でも、彼らはそこら辺にいる普通の善良な一般市民じゃないため、
とても個性的で、かつ危うい。

◆いーちゃんの葛藤
多分それは、五年前から始まっていることなのだろう。
でも読む側としては、これからこの葛藤に付き合うことになるんだろうな、と予想できる。
葛藤というか、彼は彼だからこそ今の現状や未来への自分に対して心を乱すのではないかと。
彼の心を乱すのは彼女しかいない。

GOSICK〈1〉

4829162295GOSICK―ゴシック
桜庭 一樹 武田 日向
富士見書房 2003-12

by G-Tools

★★★
(豪華客船、怪現象、ゴシック・ホラー、学園、留学、図書館、屋上、謎の少女、書物、世界の混沌)


ヨーロッパの小国、ソヴェール王国に留学している一弥。
いつも図書館の最上階にいる同級生のヴィクトリカに授業のプリントを届けるのが日課。
その彼女だが、どうやら変わり者のようで。

感嘆符、擬音語についていけない点があったものの、ライノベとしてはちゃんとしたミステリもので面白かった。

ヴィクトリカの過去が気になりつつも、結構材料はそろった感じなので、これからどう明かされるのか。
一弥はもうちょっと頼りになるかも。

夏期限定トロピカルパフェ事件

4488451020夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤 穂信
東京創元社 2006-04-11

by G-Tools

「……わたしたちが二人でいる限り、それは永遠に解消されないって、そう思わない?」
(p.229)


★★★☆
(小市民、名探偵、諦念と儀礼的無関心、高校二年生、小佐内スイーツセレクション・夏)


1作目「春期限定いちごタルト事件」が小鳩くん中心だとするならば、2作目「夏期限定トロピカルパフェ事件」は小佐内さん中心。
ここで、たぶん読者の中でもくすぶっていたであろう「この二人は本当に小市民を目指しているのか?」という問いの答えが出る。

1巻ではライトノベルかと思うような展開だったが、この巻では厳しいとも言えるきっぱりとした結論が出る。
たしかに、これでいいとは思う。
でも、これが最終巻じゃないよね?
しかし、1巻と2巻でひとつの作品とみる見方も無きにしも非ず。